2022年度はコロナ禍からの回復が期待されましたが、長期化するロシアのウクライナ軍事侵攻の影響で、世界的にエネルギーや食糧価格が上昇しました。更に円安と物価高により建設資材の価格も高騰し、住宅取得へ向けたマインドは寧ろ後退してしまいました。新築住宅着工数は86.0万戸（前年比-0.6％）でしたが、持ち家に限ると24.8万戸（前年比-11.8％）となり、1961年以来最低の着工数となりました。

　2023年度に於いても、建築資材の高止まりや今後の金利動向等、予断を許さない状況がありますが、まずは持ち家住宅市場の回復が重要と考えます。そのための住宅ローン減税の継続や「こどもエコすまい支援事業」の創設等、子育て世帯の住宅取得の後押しや、カーボンニュートラルの実現に向けたZEHの推進に対する切れ目のない支援は継続されています。又、2025年度にはすべての新築住宅・建築物で省エネ基準への適合が義務付けされることとなりました。輸入住宅業界としては、これまでも気密・断熱性能や耐震性に優れた住宅を供給しており、優良な住宅ストックの積み上げに寄与してきました。そして、更なる省エネルギー性能の向上に対する技術支援、木造住宅の優位性の情報発信が重要と考えます。ソフト面においも、海外の設計思想に基づく合理性と多岐に渡るライフスタイルへの対応力、そして日本の街並みにもマッチする外観デザインという特徴を備え、グリーン成長戦略においても、ポストコロナ時代の新たな住まい方提案においても、輸入住宅は先導的な役割が果たせると確信しております。

当協会では、人材の育成を目的とした各種セミナーの開催や「ライフスタイルプランナー資格試験」を行っております。今年度は休止しておりました「ライフスタイル・リフォ－ムアドバイザー資格試験」も再開いたします。住宅の長寿命化に関しては、建物の耐震化だけではなく、地盤調査や地盤改良工事による２０年間の地盤保証制度も行っており、利用者も増加しております。又、住宅の社会的資産化のために、リフォーム需要の喚起を目指しており、輸入建材によるリフォーム事例等を発信していきます。
住宅業界全体の活動としては、住団連の委員会等で得られる国の施策や法改正、建材の流通状況などを会員へ迅速に伝えると共に、住宅税制の抜本的見直し要望も引き続き行ってまいります。

一般社団法人　輸入住宅産業協会
会長　村井　秀壽